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第6章 気候変動に関する指標の動向

気候変動に伴い予想される災害の激甚化


気候変動に関する指標の動向


(1)世界的な地球温暖化
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)によれば、将来、温室効果ガスの排出量がどのようなシナリオにおいても、21世紀末に向けて、世界の平均気温は上昇し、気候変動の影響のリスクが高くなると予測されている。

 過去に観測された指標のトレンドからは、気候システムの温暖化には疑う余地がない。たとえば、1850年以降の世界平均の地上気温や、1900年以降の海面水位については、いずれも顕著な上昇を示している。特に、1950年代以降に観測された変化の多くは、数十年から数千年間にわたってきわめて大きなものである。

同様に、他の指標を見てみると、北半球の春の雪氷面積は減少し、北極域の夏の海氷面積も減少していることが見て取れる。今後の気候モデルの予測には幅があるものの、気温上昇や海面上昇が続くことが予測されている。


陸域と海上を合せた世界平均地上気温の偏差



北半球積雪面積の変化


我が国における気候変動の観測結果



1 年平均気温
気象庁の解析による日本における経年変化は以下のとおりである。 1898~2014年において、100年あたり1.14℃上昇している 日最高気温が35℃以上(猛暑日)の日数は、1931~2014年において増加傾向が明瞭に現れている。

年平均気温


2 降水量
同様に、降水量は以下のとおりである。 ・日降水量100mm以上、200mm以上の日数は1901~2014年において増加している ・一方で、日降水量1.0mm以上の日数は減少している

降水量


我が国における気候変動の将来予測


1.年平均気温
現在気候(1984~2004年平均)と比較した全国の年平均気温の将来気候(2080~2100年平均)は、以下のとおり予測されている。
・現状以上の温暖化対策をとらなかった場合は4.4(3.4~5.4)℃上昇
・厳しい温暖化対策をとった場合は1.1(0.5~1.7)℃上昇

2.降水量
地域気候モデルの予測結果によると、今後も比較的高水準の温室効果ガスの排出が続いた場合、短時間強雨の頻度がすべての地域で増加する一方で、無降水日数(日降水量1.0mm未満の日数)の頻度も多くの地域で増加すると予測されている。

降水量


自然災害への影響


上述のとおり、地球温暖化が進行し、気温が上昇することで、大気中に含まれる水蒸気量が増加することから、降水強度が増加すると予測されている。
 洪水を起こしうる大雨事象が日本の代表的な河川流域において今世紀末には現在に比べ有意に増加し、同じ頻度の降水量が1~3割のオーダーで増加することについて、多くの文献で見解が一致している。
 強い台風の発生数、台風の最大強度、最大強度時の降水強度は現在と比較して増加する傾向があると予測されている。なお、長期的には西太平洋域における台風の発生数は多少減少する。  このように降水強度が増すことで、現在、たとえば「300年に1度」の頻度で発生する豪雨が、「100年に1度」の頻度で発生するようになるなど、これまでの想定に比べて高頻度化することが予測されている。
 また、沿岸部(海岸)において、現時点においても強い台風の増加等を踏まえた高潮等の浸水による背後地の被害や海岸侵食の増加が懸念されている中、気候変動に伴う強い台風の増加等による高潮偏差の増大、波浪の強大化及び中長期的な海面水位の上昇により、さらに深刻な影響が懸念される。
 このほか、短時間強雨や大雨の増加に伴う土砂災害の発生頻度の増加、突発的で局所的な大雨に伴う警戒避難のためのリードタイムが短い土砂災害の増加、台風等による記録的な大雨に伴う深層崩壊等の増加が懸念される。

X年確率降水量


高まるハザードと社会の脆弱性の変化

前項で予測を示したとおり、今後、特に風水害における災害外力(ハザード)が高まることは疑う余地がない。

 ただし、受ける被害は外力の強さのみに依存するものではなく、これらを受け止める我が国社会の「脆弱性」の変化を考慮する必要がある。つまり、インフラ整備や一人一人の防災意識の向上によって災害リスクを軽減できる一方で、高齢社会の進展や都市化によって脆弱性が高まり、災害リスクが増大することも考えられる。

災害リスク図解


既存想定を超える災害の激甚化

上記のとおり、今後、さらに気候変動の影響の増大により、施設の能力を上回る外力による水害の頻発、発生頻度は低いが施設の能力を上回る外力による大規模な水害の発生が懸念される。

すなわち、既存の想定を上回る豪雨等の高頻度化により、従来の対策で「安全」「守れる」とされてきたものが通用しなくなる深刻な問題が生じる恐れがある。

現在、過去の大規模水害を踏まえた流量等を想定した計画に基づいて、堤防等の整備を進めて

大規模水害対策

(大規模水害対策の必要性)
平成17年8月末にアメリカ合衆国南東部を襲った大型のハリケーン,カトリーナによる災害では,ニューオーリンズ市域の約8割が浸水し,浸水期間は約1か月半に及んだ。被災建物は約30万棟に及び,約1,800人が亡くなるとともに,通信,電力を始めとするライフライン,教育施設,医療機関等社会基盤の多くが被災した。また,平成20年のサイクロン・ナルギスやハリケーン・グスタフ,平成21年の台風第8号(莫 土偏に立 克(モラク)台風)による台湾での水害,平成23年のタイの水害等,近年世界的に大規模な水害が多発している。

我が国においても,短時間強雨の発生頻度が増加傾向にあり,更に,地球温暖化による大雨の頻度の増加や海面水位の上昇,極めて強い台風の発生等防災面から懸念される予測が出されている。

これまで,治水施設等の整備は着実に進められてきており,相当程度の洪水までは対応できるようになってきているが,現段階では治水施設等は整備途上であり,大規模な洪水等により被災する可能性が常に存在している。加えて,高齢化社会の到来により災害時要援護者の増加,旧来型の地域コミュニティーの衰退,水防団員の減少等,地域防災力が低下し,氾濫した場合の備えがますます重要になってきている。

さらに,首都圏は,利根川や荒川等大河川の洪水氾濫や高潮氾濫が発生した場合の浸水区域に存在し,東京湾周辺にはゼロメートル地帯が広がっており,それらの地域には政治,行政及び経済機能が集積している。そのため,大河川の洪水氾濫や高潮氾濫が発生した場合には,甚大かつ広域的な被害が想定される。

(大規模水害対策の現状等)
このような状況を踏まえ,首都圏において甚大な被害の発生が予想される利根川及び荒川の洪水並びに東京湾の高潮による氾濫を対象とし,大規模な水害が発生しても被害を最小限にとどめる対策を検討するため,中央防災会議の下に「大規模水害対策に関する専門調査会」(以下「大 規模水害専門調査会」という。)を設置した(平成18年6月)。

大規模水害専門調査会は,平成22年3月までに20回開催され,これまでに利根川・荒川流域の氾濫地形の把握や氾濫形態の類型区分,詳細な排水計算モデルの構築を行い,洪水氾濫時の浸水想定を公表するとともに,国内では初めて洪水氾濫による死者数,孤立者数等の人的被害の想定や,超過洪水(約1000年に1度の発生確率の洪水)時の被害想定等を行った。また,平成21年1月には,荒川堤防決壊時における地下鉄等の浸水想定について結果を取りまとめ公表した。

国土交通省においては,平成21年4月に,東京湾沿岸の現時点での高潮防護能力の検証及び長期的な気候変化に対するリスクの把握を目的とした高潮浸水想定を公表し,その後,被害想定の検討を実施した。

(現在の取組)
大規模水害専門調査会での被害想定結果や過去の大規模水害時の状況等を踏まえ,膨大かつ広域にわたる被災者の発生への対応は,河川管理施設等のハード対策と適時・的確な避難を中心とするソフト対策を組み合わせて実施する必要がある。広域的な水没の危険に備えて,円滑な避難誘導が可能となるよう,地方公共団体と国等との連携のもと,避難シナリオや避難計画の策定を進めるとともに,広域避難の実施体制を整備する必要がある。

また,逃げ遅れた者の被災回避,孤立者の救助・救援,災害時要援護者の被害軽減,地下空間,病院等における被害軽減,住民や地域の防災力の向上,公的機関等の業務継続性の確保,ライフライン・インフラの浸水被害による影響の軽減と早期復旧,氾濫拡大の抑制と排水対策の強化等について,首都圏における大規模水害対策に関する大綱等を取りまとめることとしている。



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