【川崎強靭化計画2】危機事象に強い川崎市を目指して

【川崎強靭化計画2】危機事象に強い川崎市を目指して

 

はじめに

 

 

2011年3月11日東日本大震災が発災。その厳しい経験を踏まえ、日本は全ての法律の最上位に位置するアンブレラ法である「国土強靭化基本法」の策定により災害に強い国土を構築するため舵を切るかのように見えた。しかし、残念ながら法律は制定されたももの肝心の予算規模が小さく、仏作って魂入れず、という状態が今も続いている。災害対策のハード対策には莫大な予算がかかる。しかし、令和元年東日本台風では徹底した利根川の治水対策により、ギリギリのところで洪水を免れた。かけるべきところには優先順位をつけてかけておく。そしてハードで賄いきれない面を含め、ソフト対策を綿密に講じることが肝心であると考える。 国土強靭化基本法の生みの親である藤井聡京都大学教授の見解に基づいて「川崎強靭化計画」~激甚災害に備えるために~ の、政策提言をまとめたのは2017年3月であるが、その続編として、この間の政策提言をまとめ、多発し、迫りくる大規模な危機事象に備えるべく本篇を作成した。 東日本大震災以降の主な災害は下記の通りであるが、まとめている自身が戦慄を覚えるほど多発している。そして殆どの災害の復興は終わっていない。「正しく畏れ、備える」を痛感する次第である。

大規模地震

2011年3月11日 東日本大震災 マグニチュード8.4 震度7
2011年3月12日 長野県北部地震 マグニチュード6.7 震度6強
2016年4月12日 熊本地震前震 マグニチュード6.5 震度7
2016年4月14日 熊本地震本震 マグニチュード7.3 震度7
2016年4月16日 大分県中部地震 マグニチュード5.3 震度5
2018年6月18日 大阪北部地震 マグニチュード6.1 震度6
2018年9月6日 北海道胆振東部地震 マグニチュード6.7 震度7

主な風水害

2011年9月2日 紀伊半島大水害(台風12号) 紀伊半島
2013年10月 伊豆大島土砂災害(台風26号) 伊豆大島
2014年8月20日 広島市豪雨土砂災害 広島市
2016年8月 台風7号・11号・9号・10号 北海道地方
2018年7月3日 西日本豪雨 西日本・東海地方
2018年9月 台風21号・24号 関西地方
2019年8月28日 九州北部豪雨 九州北部
2019年9月5日 令和元年房総半島台風 千葉県
2019年10月12日 令和元年東日本台風 首都圏

 

第1章 激甚災害・令和元年東日本台風発災前

 

「災害死ゼロを目指して」 ~2017年2月の政策提言から2019年10月の発災前まで~

環境にやさしい街は災害に強い街である。それは建築家としての知見に基づいた信念である。 その信念に基づいた「環境共生都市」は2003年市議に初当選以来の一貫したテーマである。このテーマにおける政策提言は枚挙に暇がないのでここでは記さないが、吉沢章子ホームページ議会質問一覧を是非ご参照されたい。(→ホームページ:川崎市議会・参照) 科学的知見に基づき、いよいよ迫り来る大震災と洪水のリスクについて、2017年3月「川崎強靭化計画」で政提言を行った(→ ホームページ:川崎強靭化計画~激甚災害に備えるために~・参照)。そして、4年後に地震・洪水など大規模災害が来ると想定し、逆算して全ての施策に災害対策の網をかけ、優先順位をつけて予算措置し実行してゆくことを求めた。しかしながら、行政側に予算・施策とも抜本的に考え直す様子が全く見られなかったので、政策実現のために川崎市長選挙に臨んだ。政策の1丁目1番地は「災害死0を目指して」であった。(→ホームページ:市長選挙政策参照) 残念ながら市長選挙で敗北を喫し、市議の職は失ったが、災害に対する危機感は日に日に増していった。何とか市民の方々にリアルな危機感を持って頂きたいと思い、知恵を絞って制作したのが 下記の防災啓発パンフレット「多摩区版」である。

防災啓発パンフレット:B面

表面:先ず多摩区の災害特性と災害種別のリスクを明確にし、開くと、具体的な提言と併せて公的な相談先がわかるようにした。

裏面:多摩区の災害特性がはっきりわかるようハザードマップを複合化した。土砂災害ハザードマップと洪水ハザードマップを併せると、多摩区のリスクが一目瞭然となった。 また、提言の「まち歩き」を自ら実施し、地歴と併せてリスクを見える化した。

上記のパンフレットを作成、多摩区の方々に配布し啓発活動を続けた。配布累計は約13000部。

2019年4月に市議に再選し、直後の6月議会ならびに9月議会においても災害対策についてさらに提言を続けた。政策提言は下記に記載。

吉沢章子の提言

 

2019年6月 一般質問

 

議事録 災害対策について (2019年7月2日・一般質問より)

吉沢章子

今九州では9つの市町に対して警戒情報が出されておりまして、まさに予断を許さない状況であるということでございます。まずは本当に命を守る行動をとっていただきたいと願うばかりでございます。降雨量というのは、この10年間に右肩上がりでございまして、地震は過去2,000年間に4回目の活動期に突入していますということでございます。激甚化する災害大国日本の国土強靱化は最上位の課題であるとの認識のもと、議会でも議論を重ねてまいりました。市における地域計画を策定し、その後はさらに各区に落とし込んでリアリティを上げることを提案してまいりましたけれども、実際に多摩区をフィールドワークしてみましたので、感じたことをさらに提案したいと思います。ディスプレーをお願いいたします。【P4 防災啓発パンフレット:B面 参照】これが多摩区の災害リスクでございます。大雨と大地震が両方想定されているわけでございますけれども、それぞれに大雨のリスク、大地震のリスク、また土砂災害のリスクというものはどちらにもかかわってくるということでございます。そして、これがハザードマップでございますが、これは洪水のハザードマップと土砂災害のハザードマップをあわせてつくらせていただきました。これは以前、平成29年3月議会において、このように複層的なハザードマップをつくるべきではないかということを提案させていただき、昨年、ハザードマップは全戸配布をしていただいたんですけれども、このような複層的なハザードマップというのは、非常にリアリティを持って皆様方のところに刺さったということで、私も、このようなパンフレットをつくらせていただきまして、多摩区の中でお配りさせていただきました。これは非常にわかりやすいということで喜ばれたんですけれども、この多摩区をフィールドワークさせていただいたことで、また提案させていただきたいと思います。このハザードマップを見てもわかりますように、多摩区は多摩川の氾濫はもとより、内水氾濫による災害リスクがとても高くて、地震もさることながら、むしろこの水害対策が課題であるということがわかります。このような複層的なハザードマップと災害の地域特性をわかりやすく明記したものを各区で作成し、リスクを身近なものとして市民の皆さんが、まずリアルに知ることが肝心と考えますが、見解を伺います。自分事ということがよく言われますけれども、このように自分の地域がどこに含まれるかということをリアルにわかることが、自分事というものを最も身近に感じることというふうに思っております。
また、対策として、最悪を知り、逆算して安全をマネジメントすることが肝要だと考えます。国は、このほど水害における避難行動を5段階で示しました。行動をとるタイミングがわかりやすくなりまして、非常によくなったと思っておりますが、さて、ではどこにどうやって逃げればよいのか、それが問題でございます。水害における避難場所も全く足りていないのが現状です。埼玉県戸田市では、自主防災組織が民間の高層マンションなどと協定を結び、避難場所を確保しています。市として、このような事例を調査して、安全をマネジメントできるガイドラインを策定し周知することを提案いたしますが、見解を伺います。また、地震の際、そこに逃げ込めば助かる場所を確保することが肝要だと思いますけれども、家全体ではなく、まずは一部屋を耐震するという方法もあります。横浜市では補助制度もありますけれども、本市も導入し、あわせてガイドラインに記載することを提案いたしますが、危機管理監に見解を伺います。

危機管理監

災害対策についての御質問でございますが、初めに、風水害時におきましては、市民一人一人が正確な情報を得て正しく判断し、適切な避難行動をとることが重要でございます。本市では昨年度、洪水や土砂災害から身を守るをテーマに、防災タブロイド誌「号外!備える。かわさき」において、防災行動計画に資するよう、適切な避難行動の考え方をお示しし、土砂災害と洪水を併記したお住まいの地域のハザードマップを折り込み、出水期のタイミングに合わせ、市内の御家庭、事業所の全戸にお配りするとともに、ぼうさい出前講座等における対話を通じて、それぞれの事情に応じた的確な避難行動と心構えを持っていただけるよう、取り組みを進めてきたところでございます。次に、洪水時の避難場所につきましては、現在、指定緊急避難場所として市内175カ所を指定しており、加えて、川崎区内を中心に、津波避難施設として103カ所を指定しているところでございます。また、川崎区内の町内会が、独自に地区内に立地するマンション等を避難場所としている取り組みもあると伺っているところでございます。水害に関する避難場所の指定に際しましては、緊急の場合においても、速やかに避難者を受け入れられる管理体制を有していることのほか、建物の強度や避難スペースの確保などの諸条件を確認した上で、所有者または管理者との合意形成を図る必要がございますが、他都市の事例等を参考に検討を進めてまいります。次に、住宅の一部の耐震化についてでございますが、本市では、建築基準法が改正された昭和56年5月31日以前の木造住宅に対し、耐震シェルターまたは防災ベッドを設置する費用の一部を助成する制度を運用し、防災啓発冊子「備える。かわさき」やぼうさい出前講座等で周知しているところでございます。また、今年度、九都県市の大規模地震における有効な家具類転倒防止対策研究会におきまして、家具類の転倒防止対策が進んでいない現状を踏まえ、検討が行われておりますので、他都市の事例とあわせて参考にしてまいりたいと存じます。以上でございます。

吉沢章子

ありがとうございます。今、昨年の10月にお配りいただいたタブロイド誌のお話もありましたけれども、ハザードマップの弱点というのがございまして、私も、今普通のハザードマップを持っているんですけれども、危険な地域以外が白いんですよね。白いというと安全だと思ってしまうわけでございまして、これを見ていただくとわかりますが、土砂災害と洪水がぶつかっているところがございます。洪水で山側に逃げればいいと思っても、山側は土砂崩れが起きるということもあり得るわけで、これは多摩区のある意味特性なんですけれども、ピンク色の部分は全部もともとは多摩川でしたので、そこまで浸水が来るのは理の当然というふうに思いますが、そのようなリスクが一目でわかるということが大事ですので、ぜひ、このハザードマップについてもお取り組みをまた進めていただきたいと思います。事前のやりとりの中で、平成29年に申し上げたときに、複層的にわかるようにしてほしい、まずはインターネット上でやっていただきたいということを申し上げておりまして、今、そこを鋭意取り組んでいただいているということですので、いずれは各区で、どのように複層的に災害があるかがわかり、そうすると、自分のいる位置でどのような災害があるかということが複層的にわかるようになります。特に川崎区というのは、この間、本間議員も質問されておりましたけれども、さまざまな水害というものが複層的にあるわけで、自分の位置がどこにあるかということがわかりやすいと思いますので、このようなハザードマップの作成もぜひ取り組んでいただきたいと思います。あわせて、水害時の避難場所については検討を進めていただけるということでございます。そしてまた耐震についても、他都市の事例とあわせて参考にしていきたいということですので、取り組みをよろしくお願いしたいと思います。ディスプレーは結構でございます。ありがとうございます。
区内を歩きまして、さまざまなお声を伺う中で、地歴の大切さを改めて痛切に感じました。東生田地区――これは生田緑地のある地区ですけれども――では地震で山が飛んだとか、菅地区では100年前に多摩川が決壊した場所に、災害を絶つという意味のたとう様というほこらが今でも祭られていたりしております。国もこのほど、昔の災害の歴史を碑にした災害の碑をマップに落とし込みましたけれども、本市の災害地歴を市民の方から募集してマップ化し、語り部としてぼうさい出前講座などでお話しいただくなど、貴重な情報を収集、活用することを提案いたしますが、見解を伺います。危機管理監、お願いいたします。また、昨年、多摩区の道路公園センターが行った通学路の危険箇所チェックに同行いたしましたけれども、ブロック塀はもとより、土木の視点と私の建築士の視点で、さまざまな危険を洗い出すことができました。複層的なハザードマップとガイドラインを持って、専門家と一緒に地域でまち歩きをすることにより、どこにどのルートで逃げればよいのかが明確になり、さらに身近な危険に近寄らないということも体感できると考えますけれども、見解を伺います。

危機管理監

地歴等についての御質問でございますが、初めに、災害地歴につきましては、現在高潮浸水想定区域で開催している住民説明会の中で、参加された方から、よりリアルに自分事として地域のリスクを理解していただくことができる財産として、活用の御提案をいただいております。次に、地域のまち歩きにつきましては、住民の主体的な取り組みとして、災害時に活用可能な井戸の確認や危険なブロック塀の確認などを行っております。いずれにいたしましても、より多くの市民の皆様が日ごろから水害等に備えていただけるよう、災害地歴の収集等、関係各局区と連携し、検討してまいりたいと存じます。以上でございます。

吉沢章子

検討していただけるということでありがとうございます。地域のまち歩きは、これはもともとまちづくり局がやっていらっしゃることでありまして、私はそれをまさに拡大して、マップを持ちながら地域の方々が専門家と一緒に歩くということが本当に大事だと体感いたしました。私が歩いたのは、中野島小学校の学校区でございましたけれども、さまざまなリスクがあったんですが、特に私が感じたのは、よくコンテナ倉庫というのがありまして、コンテナ倉庫が2段に重なっているものもあるのですが、あれは全く建築ではないので建築基準法の中には入ってこない。ただ置いてあるだけで、地震のときにあれが飛んでしまうなと思ったりしました。そういう危険は、まちの中に潜んでおりますので、自分たちがどの避難ルートを通っていくのが安全なのかということをしっかりと知るために、まち歩きをすることが私は必要だと思いますので、ぜひこちらのほうも御検討していただければと思っております。よろしくお願いいたします。
次に、市長に伺います。自然災害は、私たち人間にとっては脅威そのものでございますけれども、地球にとってはダイナミックな星の生命活動でありまして、これはある意味、星にとっては当然のことであります。私たちは、その上に生かしてもらっているという立場を忘れず、正しく恐れ、備えることが持続可能な世界をつくる根源的な観点であり、災害から命を守る基本姿勢であると考えております。そのような意識の醸成が肝要と考えます。その観点に立った上で、災害で一人の命も失わないためには、自分に落とし込むパーソナル防災を構築することが肝心であります。それがまさに自助であると考えます。県はある意味では言いっ放しでございますけれども、自助を助ける具体的なルールをつくるのが公助であり、基礎自治体としての市の役割であると考えております。まずは、本日御提案させていただきました諸々を御検討いただきまして、その瞬間に命を守ることに特化したガイドラインを策定し、最終的には市民一人一人のパーソナル防災を目指すことを提案させていただきますが、御見解を伺います。

市長

災害対策についての御質問でございますけれども、災害対策では、みずからの身はみずから守ることを意識した日ごろの備えと、より実践的な訓練により、地域の防災力を高めていくことが大変重要であると考えております。そのため、市民の皆様に災害をイメージしていただく体験の機会としての総合防災訓練を各区年2回実施しているところでございます。また、昨年度は台風シーズンに合わせ、ハザードマップを市内全ての御家庭と事業所にお届けしたほか、子育てに忙しい御家庭においても、防災について語り合う機会が生まれるような取り組みを行うなど、さまざまな世代を対象とした防災意識の向上に取り組んでおります。こうした自助力に着眼した取り組みの充実によって、本市の掲げる「防災から始まる、力強いまち」の実現を果たしてまいります。以上です。

吉沢章子

御答弁ありがとうございました。まさにステージを変えた災害に対しては、本当にいろんな人知を集めていかなければならないと思っております。今回の議会でも多くの方が災害に対しての質問をされました。それぞれの立場で、それぞれの質問をされているわけでございまして、この人知を集めて議会も行政も一体となって災害対策に取り組み、また、市長にリーダーシップをとっていっていただきたいと思っております。私も、私の立場でまた意見を申し上げさせていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 

2019年9月 決算審査特別委員会

 

避難所の非常用電源について (13款8項1目義務教育施設整備費)

吉沢章子

学校防災機能整備事業費の不用額が出ているということでございましたけれども、6億6,413万円余が執行されておりまして、これは非常用電源確保等の費用も含まれております。先日の文教委員会でも審議されましたとおり、また、昨今の災害の激甚化を鑑みても、避難所として学校の防災機能を高めるのは今や喫緊かつ重大な課題であることは論をまちません。最悪を想定して逆算するのが国土強靱化基本法の肝であり、それがリアルな災害対策と考えております。避難所機能として最大限活用できるよう、教育委員会としては各学校の施設の洗い出しを、そしてまた、危機管理室としては、幸区が作成した避難所運営マニュアルの好事例を推進する等、指導的立場で牽引するべきと考えておりますけれども、それぞれの見解を伺います。

古俣和明 教育環境整備推進室担当課長

学校施設についての御質問でございますが、避難所が設置される各学校におきましては、所有する施設を最大限に活用し、災害時の対応を行っていくことが重要であると考えております。教育委員会といたしましては、避難所運営の視点から、改めて学校施設の状況把握に努めてまいりたいと存じます。以上でございます。

小野寺将崇 総務企画局危機管理室担当課長

避難所運営についての御質問でございますが、被災者の受け入れ施設につきましては、地域防災計画において、原則、体育館を優先して使用し、不足が生じた場合や要配慮者向けのスペースの確保が必要な場合には、避難所運営会議で協議の上、体育館以外の施設も含め収容場所の確保に努めることとしております。また、受け入れスペースにつきましては、施設管理者の協力を得ながら、体育館や校舎等を含め施設全体で調整するよう、避難所運営マニュアルに定めております。同マニュアルは、国のガイドライン等との整合を図るとともに、先進事例及び熊本地震への職員派遣から得られた教訓などを反映するため、標準例を昨年8月に改定を行い全避難所に配置したところでございます。各避難所において既にマニュアルを作成している場合につきましては、今後更新される際の参考としていただき、作成していない場合につきましては、本マニュアルを活用して整備していただくよう、今年度の自主防災組織連絡協議会総会におきましてお伝えしたところでございます。それぞれの地域の実情に応じてマニュアルの更新を図ることは、地域防災力の向上に直結するものと考えておりますので、引き続き、避難所運営会議の充実、強化に向け関係局区と支援をしてまいります。以上でございます。

吉沢章子

教育委員会としては学校施設の状況把握に改めて努めてまいりたいということですから、これは以前から申し上げていますとおりで、しっかりとまたさらっていただきたいと思いますし、今の危機管理室の御答弁では、その避難所運営マニュアルの整備状況を、今のところ余り把握されていないということでございまして、もちろん整備しているところもあれば、そうしていないところもあるということですけれども、その整備状況をしっかりと把握をして支援を徹底していただきたいと思っております。
激甚災害を想定すれば、地震、風水害ともに東京、横浜と同時に発災すると考えるべきで、近隣他都市もみずからで精いっぱいになり、さらに国としては、例のゴジラの映画ではありませんけれども、優先順位が首都東京であることは、これはある意味、当然のことと言わざるを得ないと思います。そうなると、本市はまず、本市の自助を再構築するべきで、千葉県の例に学べば、できる限りのエネルギーの自立に向けて徹底するべきと考えておりますけれども、取り組みと見解を危機管理室に伺います。
また、ブラックアウトなども考慮していれば、まずは避難所の非常用電源の備蓄増量が必要と考えますけれども、見解を現場である教育委員会に伺います。

大村誠 総務企画局危機管理室担当課長

災害時の燃料備蓄等についての御質問でございますが、消防庁の通知によりますと、地方公共団体の業務継続性確保のため、非常用電源の稼働につきまして、72時間分は燃料等を備蓄しておくこと、また、停電の長期化に備え、1週間程度は災害対応に支障がないよう準備することが望ましいとされております。さらに、重要施設につきましては、資源エネルギー庁の災害時燃料供給の円滑化のための手引きにおきまして、各施設において4日程度の非常用発電機の燃料備蓄を推奨されております。そのため、本市におきましても、非常用電源の稼働時間の確保につきましては、その重要性に鑑み、各施設所管におきまして対応を進めているところでございます。以上でございます。

古俣和明 教育環境整備推進室担当課長

非常用電源についての御質問でございますが、学校施設の灯油式発電機の燃料につきましては、国の方針を参考に、3日間稼働可能な量を確保しているところでございます。学校施設における燃料備蓄につきましては、避難所運営全体の幅広い観点から検討される必要があるものと考えております。以上でございます。

吉沢章子

教育長に伺いますけれども、学校施設を避難所機能として最大限活用できるように、危機管理室と双方連携を深め、具現化することが肝要と考えますけれども、見解を伺います。

小田嶋満 教育長

学校施設についての御質問でございますが、教育委員会におきましては、学校施設の耐震化や防災機能の強化等、児童生徒の安全確保はもとより、避難所機能の充実に向け、これまでにもさまざまな取り組みを進めてまいりました。避難所としての学校施設のあり方につきましては、関係局区との連携のもと、総合的な視点からの検討が必要であると考えております。以上でございます。

吉沢章子

先ほどの御答弁の中では、危機管理室の答弁としては、重要施設については資源エネルギー庁が4日間程度の非常用電源の備蓄を推奨ということでありまして、先ほどの教育委員会の答弁では、今年度中に発電機等は各学校に全部設置されるということでございますが、3日間の稼働可能な量を確保ということで、ここにまた差異があるわけですね。明らかにこれは重要施設でありますから、ここをまず限定させていただいて、まずは燃料備4日間を目指していただければと思います。御答弁のとおり、さまざまなことが想定され、先ほど飛散防止フィルムのこともあったりしましたけれども、まずは避難所というものの機能を強化するという意味で、双方連携していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

災害対策について (チーム無所属代表質問より抜粋 201912)

風水害対策の初動体制について

質問

台風19号によって明らかになった地域防災計画~風水害編~の大きな課題の一つが初動体制です。災害対策の体制について伺います。川崎市は災害警戒本部を設置したものの、被害情報が入り、災害対策本部ができたのが、10月12日23時とのことです。災害対策本部には、市の対策本部の各局の連絡員が常駐するものの、災害警戒本部では、連絡員が本部に常駐しない計画になっています。しかし、対策本部ができた23時の時点では台風19号の中にあり、外出が厳しい状況で、連絡員が集合することは難しかったという事実があります。
そこで、地震災害ではなく、風水害であり、このような事態は想定できたことから、マニュアル通りではなく、警戒本部の段階から各局の連絡員が集うべきだったと言えます。連絡員が常駐していなかったことにより、被害状況の情報収集が遅れ、被災現場が縦割りの問題で混乱し、被災者が不安を感じたということも伺っています。この初動体制の課題が災害復旧を遅らせた要因になったと考えられます。この点において、大型台風ということで最高の警戒体制で挑みながら、マニュアルを超えた対策を打つ初動に至らなかったことは課題だと考えますが、市長の見解を伺います。
また、来年の6月までに風水害編の見直しを行うと伺っていますが、初動体制については早急に見直せると思いますが、見解を伺います。

市長

このたびの台風第19号においては、台風の規模等から、「最悪ケースを考え、やれるべきことは、すべてやる。」という姿勢で、10月10日の9時に全局区長で構成する警備制をとり、3回の会議を開催して、各局区間におけ報共有や事前準備の指示を行い、できる限りの備えるたうえで、災害状況等を鑑み、災害警戒本部から災害策本部に移行させたところでございます。  今回、川で観測史上最大の水位上昇により広範囲での浸水裕などが発生し、課題は多岐にわたることから、風水骨の災害対策本部事務局のあり方や連絡員の派遣体制pきましても、今後の検証の中で検討してまいります。

危機管理監

現在、令和元年東日本台風における対応等について課題の抽出を行なっているところでございますが、風水害時の災害対策本部事務局のあり方等につきましても、川崎市防災対策検討員会委員の知見もいただきながら、検証を進めた上で、必要に応じて運用方法や構成の見直し等の検討を行っていります。

 

 

職員の危機意識の共有について

質問

災害対策は最悪の事態を想定して行動するのが基本ですが、この度の台風19号において、市民ミュージアムやとどろきアリーナなどの対応を見ても、意識の共有がはかられていたか、甚だ疑問です。市長は「総力戦」とされ、自らも現場に出向き、陣頭指揮をされる中で様々な体感を持たれていると思いますが、職員の危機意識の共有について、市長の率直な見解を伺います。

市長

このたびの台風第19号では、最前線の現場で災害対応等に従事した職員は全力で職務に当たってくれたと、実感しているところでございます。
一方、事前準備等において、職員の危機意識に温度差があったことも感じておりますので、今後の検証を通じて、把握した課題につきましては、全庁的に共有し、反省すべき点は反省し、次の災害対応に備えてまいります

質問

体験を教訓とするためには、検証にあたり、失敗を直視し、成功を分析し、課題を抽出する事が肝要です。例えば、情報管理は災害時の生命線ですが、現場対応に追われ、本庁も区も情報のハブ機能を失っていました。また、災害協定を締結している市内企業・団体への情報周知も徹底されておらず、現場でプロの協力を活かせなかったという課題があります。これらの件も含め、事前・発災時・事後における現時点での総括について伺います。
また、台風15号における九都県市の災害協定はほぼ機能しませんでしたが、台風19号における広域連携について伺います。

危機管理監

このたびの台風第19号では、「最悪のケースを考え、やれるべきことは、すべてやる。」という姿勢で、台風の上陸が予想された2日前から警戒体制を整え、準備してまいりました。また、避難所等の現場におきましては、避難所運営や被災された方への支援など、あらゆる場面で、自主防災組織をはじめとした地域の皆様、川崎建設業協会、塗装業協会などの災害時協定締結団体、企業等の御協力により災害対応が行われました。現在も、多くの皆様からの御支援をいただきながら、市民生活の一日も早い回復と安定に向けて、全市一丸となって取組を進めているところでございます。一方で、市民の皆様からは、今回の災害対応についての厳しい御意見もいただいているところでございまして、今回の台風で明らかとなった課題等につきましては、しっかりと検証を行い、御報告させていただきたいと存じます。

危機管理監

台風第19号による災害対応におきましては、九都県市間の連携を活かし、東京都から、土嚢袋等の必要な物資の支援をヒだいたほか、横浜市から、ごみ収集車を派遣していただくなど、災害廃棄物の処理について、支援をいただいたところでございます。
11月6に開催された九都県市首脳会議におきましては、台風15号及び台風第19号の検証を踏まえ、連携強化に向けて、協定等の見直しを行うことが確認されたところであり、今後におきましても、九都県市をはじめ、指定都市市長会や、総務省の被災市区町村応援職員確保シテム等の様々なルートを通じて、他自治体との連携をはかり、迅速かつ適切な災害対応に努めてまいります。

 

証状況の見える化と危機管理局の設置について

質問

来年6月の地域防災計画改定時を目標とするもの、広域連携のように少し時間がかかるもの、他方で検証後すぐに対応が可能なものがあります。そこで、検証していくものについて、一覧化した上で、検討時期を示し、対応していくべきと考えます。検討事項の一覧化を含め、今後の災害対策についての検討状況の見える化を進めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
また、災害警戒本部や災害対策本部および職員の意識を始めとした様々な課題について、市長も検証の中で検討が必要であるとご答弁頂いております。そこで、これらの課題解決のために、予算や権限を一元的に担える危機管理局の設置を検討すべきであると考えますが、市長の見解を伺います。

市長

災害に強い安全・安心なまちづくりを進めるに当たっては、行政だけでなく、議会や市民の方々等とも一体となって推進していく必要があると考えております。今後の検証に当たりましては、2月中旬には、議会や市民の皆様方へ検討項目や課題などについて中間報告を行い、今年度末までに、それらに対する本市の考え方等について、検証報告としてわかりやすくお示ししてまいります。
また、今回の災害対応においては、初動期の応急対策から復旧期の被災者支援まで、所管局それぞれが強みを生かしながら取り組んでいるところではありますが、その過程で生じた課題については、危機管理体制も含め改めて検証し、今回の経験や反省を、次の災害対応に活かしていくことが重要と考えておりますので、各局区が自律的に取り組みを進め、有機的な連携が図られるよう、より一層、強化を図ってまいりたいと存じます。

 

正規職員数の減少に伴う、臨時的任用職員の災害時の動員体制について

質問

近年は行財政改革の一環として、常勤職員数の減少が続いています。人事課の調べでは、市長部局の常勤職員数は平成22年度4月に7,946名だったのが、平成31年度4月には7,284名となり662名減少しています。来年度以降も減少が続くとすれば、災害時に通常業務の継続が困難もしくは望ましくない場合には、災害時には会計年度任用職員や業務委託事業者などを、一定の契約にもとづいて補助的な人員としてみなす必要があるのではないかと考えます。
例えば今回浸水被害をうけたエリアでは、道路公園センターの職員が泥かきをしている横で、路上喫煙の指導員が台風など来なかったかのように通常業務を行っている様子が見られました。市民からすれば、まちの状態と市の取組みがあまりにもミスマッチしているように見えてしまいます。会計年度任用職員や業務委託などの契約において、明らかに災害が想定される場合や発災時の緊急対応を協議する旨の規定を設けることについて、検討することはできないのか、担当副市長に伺います。

伊藤副市長

弁本市におきましては、発災時の体制強化を図るため、動員計画を抜本的に改定し、避難所運営要員を約900人から2,000人に増員するなど、動員体制の確保に努めてきたところでございます。
令和2年度から新たに運用が開始される会計年度任用職員につきましては、一般職の非常動職員として、指定された職務に従事することとなり、その職務内容に災害対応業務を加えることは、制度上は可能と考えておりますが、現在の災害時の動員体制の在り方、会計年度任用職員の職の在り方など、検討すべき課題がございます。
また、災害時における業務委託事業者の補助的な活用につきましても、対象とする業務委託の選定、委託事業者負傷時の補償、連絡体制の整備、当初委託契約への影響など、検討すべき課題がございます。
今後、災害時の動員体制につきましては、この度の災害対応に係る検証を進めながら検討してまいりたいと存じます。

 

とどろきアリーナの指定管理議案について

質問

とどろきアリーナの指定管理において、議決されれば建物管理に責任を負うのは共同事業体における東急コミュニティという事になりますが、現在の指定管理者ならびに市民ミュージアムの指定管理者でもあり、今回の責任の一端を大きく担っていると考えます。台風被害における指定管理者の瑕疵については他の会派からも厳しく指摘のあったところですが、現指定管理者はどのような見解を持っているのか伺います。また再発防止に向けたスケジュール管理についても併せて伺います。
議案第176号の市民プラザ、議案第184号の富士見公園も同じく東急コミュニティが参画されております。議案に拘わる重要な事項ですので、明確な答弁を求めます。 また、今回の台風被害を受け、議案に上程されている指定管理者はもとより、現行の指定管理者と災害対策について早急に見直す必要がありますが、担当副市長に見解を伺います。
議案第176号の市民プラザ、議案第184号の富士見公園も同じく東急コミュニティが参画されております。議案に拘わる重要な事項ですので、明確な答弁を求めます。 また、今回の台風被害を受け、議案に上程されている指定管理者はもとより、現行の指定管理者と災害対策について早急に見直す必要がありますが、担当副市長に見解を伺います。
また、今回の台風被害を受け、議案に上程されている指定管理者はもとより、現行の指定管理者と災害対策について早急に見直す必要がありますが、担当副市長に見解を伺います。

中原区長

指定管理者におきましては、「川崎市とどろきアリーナの管理運営に関する基本協定書」に基づき、利用者の安全を最優先に事前の休館判断や関係各所への連絡を行うとともに、排水溝の点検や吹込みによる漏水への備え等、必要な対応を行っていたとのことでございます。
なお、指定管理者におきましては、他の類似施設における災害対応状況等を確認するとともに、施設保全対策の事前準備から災害当日の初動体制、警報発表時、浸水に至るまでの各段階での状況について検証を行い、その検証結果に基づき、より適切な対応を「有事対応ハンドブック」に反映させるとともに、従前から行われている消防訓練等の各種訓練に加え、より実践的な水害対策の訓練を実施してまいります。
中原区役所といたしましては、平時から指定管理者との連絡体制の強化や、指定管理者との共同による訓練の実施等、危機管理体制の強化を図るとともに、指定管理者に対しモニタリングを行う等、適切に指導、助言を行ってまいります。

伊藤副市長

指定管理者は、地震や風水害等のリスクが発生した場合でも、必要な業務を継続できる体制づくりに取り組む必要があることから、東日本大震災等の実態も踏まえ、平成24年3月に「指定管理施設所管課災害対応の手引き」を策定しているところでございまして、各施設所管課は、この手引きを参考に、指定管理施設の「災害時等の応急措置に関する計画」を作成し、あわせて指定管理者もその計画を踏まえた同様の計画を作成することとしております。
この間発生した熊本地震や西日本豪雨災害等で明らかになった課題を踏まえながら、本手引きの改定に向けた検討を進めてきたところでございますが、改めて、今般の台風第19号による水害への対応等も含め手引きの改定を行い、指定管理施設における災害対応が適切に図られるよう努めてまいりたいと存じます。

 

病院の非常用電源について

質問

本市に立地する災害拠点病院の非常用電源の位置と、浸水が想定される箇所数並びに今後の対策について伺います。また、平成25年12月に中央防災会議のワーキンググループが公表した被害想定では、首都圏で最大約1,220万軒が停電し、復旧には1週間以上必要とされています。対応できる燃料の備蓄等を行うべきと考えますが、見解を伺います。

健康福祉局長

病院の非常用電源についての御質問でございますが、○答弁はじめに、本市では、神奈川県知事指定の6箇所の災害拠点病院のうち、5箇所が洪水浸水想定区域内に所在しており、その中の2箇所については、自家発電機等の非常用電源を地下に設置していると伺っております。本市といたしましては、本年7月に都道府県知事あてに発出された厚生労働省医政局長通知において、「災害拠点病院の自家発電機等の設置場所については、地域のハザードマップ等を参考に検討することが望ましい」とされていることを踏まえ、病院に対策等を講じるよう促してまいります。次に、燃料の備蓄等につきましては、本年6月に市内病院を対象に「災害時医療体制に関する設備情報等調査」を実施したところでございます。本調査では、自家発電機等の燃料タンクの場所や規格、備蓄量、非常時の稼働可能時間を含め設備状況の現状把握を行ったところでございまして、今後、調査結果を活用して迅速な燃料等の補給方法を検討するとともに、訓練や研修等の機会を通じて、病院における自助の取組について、より一層の勧奨に努めてまいりたいと存じます。

質問

6か所の災害拠点病院のうち2か所は非常用電源が地下にあることが明らかになりました。対策を講じるように促すとのことですが、市民の命を守る砦として緊急性が極めて高いと考えます。本市からの支援を含め早急に整備すべきと考えますが見解を伺います。また、備蓄等の状況調査を終え、現況を把握されたとのことですが、各病院における燃料の備蓄状況について伺います。台風15号による大規模停電の被害ならびに、ブラックアウトの可能性を勘案しても備蓄は最低3日、できれば5日分は必要と考えます。そのように勧奨すると同時に支援も必要と考えますが、併せて見解を伺います。

健康福祉局長

病院の災害対策についての御質問でございますが、本市といたしましては、院内体制の強化整備については病院が主体として担っていただき、訓練や研修など自助の取組の支援や、発災時における関係機関が連携した病院支援体制を構築する取組を進めておりまして、災害拠点病院における非常用電源の浸水対策につきましては、病院にその取組を促してまいりたいと存じます。また、市内6か所の災害拠点病院では、国指定要件に定める3日分以上の非常用電源の燃料を備蓄していることを確認しており、その他の病院についても、多くが一定の非常用電源設備や備蓄燃料があることを把握しているところでございます。今後におきましては、過去の他都市での被災事例を踏まえ、今回の調査結果を活用しながら、病院における災害対応力の向上などの取組を支援するとともに発災時の病院支援活動に繋がる連携体制の強化に取り組んで参りたいと存じます。

指摘

災害拠点病院の非常用電源が浸水をすれば、被災者を受け入れられないどころか、数百人もの入院患者を周辺の病院に逆に受け入れてもらうこととなり、その地域は被災時に医療における機能不全に陥ることが想定されます。非常用電源の移設には約1億円かかると仄聞をしておりますが、仮に2病院で2億円の支出だとしても、相次ぐ大規模事業の計画変更を立ちどまって考えれば、費用の捻出は可能であり、どちらが市民にとって緊急性が高く有益かは明らかです。早急な支援の必要性を指摘させていただきます。

 

避難所の質向上について

質問

気候変動が著しい昨今、暑さは生死にもかかわる問題であり、避難場所に求められる機能について見直しを図るべきであると考えます。長寿命化に合わせて、小中学校の体育館に空調設備を順次整備するとともに、学校施設長期保全計画に基づいた災害対策の取り組みを加速化すべきと考えますが、見解を伺います。

教育次長

答弁空調設備につきましては、まずは市立学校全体を対象とした、基本的な考え方の整理をしてまいりますが、学校施設長期保全計画に基づく再生整備等の機会をとらえ、避難所のあり方についても関係局と協議してまいります。

 

重油等の流出対策について

質問

佐賀豪雨における重油の流出は約5万リットルと言われています。佐賀豪雨と同じく内水氾濫による洪水は本市でも起こり得るわけですが、重油等流出する可能性のある危険物の把握と対策の現状について伺います。

消防局長

はじめに、佐賀県で発生した危険物の流出事案につきましては、鉄工所の焼き入れ油ピットに雨水が流入し、あふれ出た焼き入れ油が周辺地域に流出したものと伺っており、本市における焼き入れ油の危険物許可施設は、川崎区に2施設、中原区に1施設ございます。次に、危険物施設の風水害対策につきましては、平成30年7月豪雨等での被害を踏まえ、総務省消防庁から風水害発生時における危険物保安上の留意事項が示されたことから、本市におきましては、市内の危険物保有事業所に対し、計画的な操業の停止や土のう等による浸水防止などの風水害対策を検討し、実施するよう通知しているところでございます。また、総務省消防庁では、この度の佐賀県の事案を受け、石油連盟や一般社団法人日本鉄鋼連盟などの関係団体に対し、改めて風水害対策を徹底するよう通知したほか、今年度から「危険物施設の風水害対策のあり方に関する検討会」を開催し、「風水害対策のガイドライン」の検酎を行っております。本市におきましては、今後このガイドラインを踏まえ。危険物施設の風水審対策について適切に指導してまいりたいと存じます。

 

 

 

第3章 令和元年東日本台風 発災からその後

現場での対応 → 復旧 → 検証経過により見えてきた課題

 

課題1 避難所について

 

~多摩区事例の事例から~
避難者:約8000人  避難所開設:17箇所
台風15号では避難所利用者30人 →台風19号では8000人と大幅増

 

ハード面 避難所が足りない

① 避難住民を移送・避難所増設
10月12日当日
午前 多摩区役所は人があふれて混乱すると見越した2箇所の避難所から
多摩市民館への移送を決定。計画運休中の市バスを依頼→交通局が了承
13時 宿河原小学校から約50人をバス3台で輸送
14時 菅小学校から約130人をバス4台でピストン輸送
17時 避難所を2箇所増設
→ ピーク時 宿河原小学校770人 菅小 220人が3・4階の教室で避難できた。

② 現場の事例
中野島小学校
当初予測を超えた避難者が詰め掛け、現場の判断で中野島中学校に増設を
依頼→避難所開設一因として近隣の下布田小学校が浸水地域のため避難所開設されておらず、中野島小学校に集中した。
・ペット同伴は可であったが、現場の判断で場所を分けた。
(他区ではペット同伴不可との誤った情報が流れるなどの混乱事例あり)

避難所内部での場所移動
当初特別活動室などへ誘導 → 結果的に体育館・校舎上層階へ移動要請
多摩川の水位が上がり、浸水地域内にある避難所では避難住民の上階への移動を余儀なくされた。しかし避難者が多数となり、登戸小学校など浸水地域内の避難所でも上階に入りきらない人が体育館などで、不安を抱えながら過ごすことになった。

③ 住民の声
・避難勧告が出ても、避難所がどこもいっぱいとの情報。諦めて自宅で死を覚悟した。(登戸・80代夫妻 後日談)
・利用者さんが中野島の90歳独居男性。中野島小学校に避難しても浸水すれば再避難の可能性もある。早めに移動させてあげたいがどうしたら?(介護事業者・当日の相談) →吉沢:枡形中学へ依頼し、無事避難。

ソフト面 避難所運営が未熟

① 職員の訓練不足
多数の避難者があった避難所では、運営に当たった職員が訓練不足のためにパニックとなった事例があった。地元町内会をはじめ、避難所運営会議の協力があって運営できた事例あり。

② 備蓄物資の扱い
風水害のマニュアルでは、備蓄物資は支給しないルールとなっている。しかし現場では、避難所では支給されるものと思い何も用意してこない人が多数。避難所によって対応違い、避難者が混乱した。臨機応変に対応した避難所と、そうでなかった避難所とで大きな差がでた。

 

課題2 浸水被害について

住宅被害: 川崎市全市:1891戸
多摩区:338戸

多摩川

被害概況

 

① 多摩川の治水対策
過去最高雨量を観測。川崎市側は多摩川の溢水こそ免れたが抜本的改革としての早道は、河川断面を大きくし、流量を確保する堆積土砂の掘削=浚渫である。← 発災以前から多摩川を歩き指摘している。

② 上河原堰堤の対応
現場の判断により12日午前9時から引き上げ式ゲートの引き上げを開始。午後4時頃引き上げ式ゲート3門全て完了。これにより、布田橋付近の多摩川溢水を防ぐ大きな要因となった。上河原堰のゲート引き上げは、史上初。とても良い判断だった。←発災翌日、現場を歩き、道路公園センターにてこの話を伺う。

 

 

三沢川周辺

大丸用水の内水氾濫により浸水←多摩区の内水氾濫リスクを指摘し、対策を講じる事も既に指摘してきた。非常に残念である。
三沢川の水門開閉の是非、大丸用水の水門管理については現段階で調査中。

 

課題3 市の対応について

組織

対策本部が組織されず、司令塔不在。その結果、機動的に動けず、後手後手となった。多忙な部署への応援体制が確立せず、現場は激務を極めた。危機管理室は電話対応に追われハブ機能を失い情報も混乱。結果、次々起こる自称に対するプライオリティがつけられない事態に陥った。この台風への危機感の薄さによる初動の遅れが全て。その後の危機意識の濃淡も大問題。

情報発信

① 市の情報が取りにくい
かわさき防災アプリが使いにくく、ポータルサイトとの連動が悪い。
結果的確な情報が伝わらない。アプリではNHKの情報が一番わかりやすいと思う。
防災無線は暴風雨のなか、機密性の高い室内には音が届かない。

② 避難指示発令が暴風雨圏内の時間
多摩区の避難指示(緊急)は12日17時50分。洪水浸水想定区域内に暴風雨真っ只中での発令。車での避難は原則禁止。夜間でもあり避難するほうが危険か。
避難するか止まるかの判断が困難な人が続出。

③ 住民の声
土砂災害警戒区域で裏が崖。90歳の母を連れて避難すべきか逡巡
(飯室50代女性・当日の相談)→吉沢:夜間暴風雨圏内での高齢者を連れての移動は
断念すべき。崖から遠い2階に避難するよう指示。

罹災証明・多摩区事例

多摩区では発災2日後の14日から罹災証明の受付事務を開始
16日から被災地域の2箇所、稲田堤地区:公園と堰地区:町内会館の現地で、地元町内会の協力罹災証明と衛生指導を行なった
→市内では多摩区が初。これは素晴らしい。←吉沢:現地で他の有志議員とともに証明 所発行の手伝い。

災害ごみ・多摩区事例

通常では、事業系ごみは有料。地域の商店や事務所の床上浸水のごみも回収しないという問題発生。←吉沢:被災現場に事業系も一般もないのではなか、と区長・環境事業所長と現場で交渉。

 

 

 

第4章 危機事象対策への提言

課題を検証・見える化し、具体的な解決策を議会で提案

 

 

~令和元年12月17日・一般質問 から抜粋~  → ホームページ・議会質問を参照

 

吉沢章子

多摩区の災害特性は、以前から指摘のとおり、平野部の内水氾濫と丘陵部の土砂災害。今回の台風では内水氾濫と想定される被害もあった。長年取り組む災害対策における政策提言に基づき検証と提案をする。

 

課題1 避難所について
・ハード面 避難所が足りない

吉沢章子

多摩区では避難場所が足りなくなった。全市的にも同様逃げる場所がない。逃げる場所を増やす、決める対策は喫緊の課題。民間の高層マンションと自主防災組織が協定を結ぶ埼玉県戸田市の例や県立高校については、6月議会でも提案したが、公共施設、商業施設等、あらゆる可能性について市がサポートし、まずは地震、水害等、災害種別の避難場所を確保するべきと考えるが見解は?

危機管理監

避難場所の確保について、商業施設や県立高校、企業等が所有、管理する施設等については、災害時における市民の避難場所としての機能が期待できることから、協定の締結等により避難場所としての確保に努めるとともに、さまざまな機会を通じて働きかけを行ってきた。
災害種別に応じた避難場所の確保について、施設の耐震化の状況や緊急時における速やかな避難者の受け入れ体制の有無、また建物の強度や避難スペースの確保など諸条件を確認した上で、所有者または管理者との合意形成が必要となるなど整理すべき課題もあるが、災害による被害を最小限にとどめるため民間施設等も含め、地域の実情や施設等の状況を踏まえて、さまざまな形で柔軟にその役割を担っていただくことも重要と考えている。
災害の状況に応じた避難場所の確保については、地域コミュニティの中で主体的に取り組んでいただくことが重要であると考えている。
今後、他都市の事例を研究するなど検討を進める。

・ソフト面 避難所運営が未熟

吉沢章子

台風19号における現時点での多摩区の総括について、併せて、事前、発災時、事後において反省する点×について伺う。

多摩区長

避難所での対応→中野島小学校のように多数の避難者があった避難所では、区役所職員や施設管理者だけでは対応が難しい状況にあり、地元町内会を初め避難所運営会議の方々の御協力をいただき、運営を行えた事例もあった。← 反省 ×
その一方、これまでの土砂災害時の経験から、当初、避難場所を空調のある特別活動室等に指定していたが、結果的に体育館や校舎上層階に移動していただくなど、避難された皆様に御負担をおかけすることになってしまった。← 反省 ×
今後の対応について、多摩区は河川に面した地域と斜面地が混在しており、避難者の安全行動が異なる地域特性がある。こうした特性や今回の台風19号の検証を通じて、避難所運営会議等の機会を活用し、地域の皆様の御意見をいただきながら、これまで以上に効果的かつ円滑な避難所運営の実現に努めるとともに、このたびの経験を職員の人材育成にも生かしたい。← 総括

吉沢章子

反省すべき点を明確に答弁された。こういう姿勢が非常に大切。
今後の検証を通じ、経験を職員の人材育成にも生かして欲しい。

 

課題2 浸水被害について
・多摩川の治水等について (多摩川、三沢川、大丸用水、五反田川)

吉沢章子

① 下布田小学校の説明会が先日行われ、吉沢も参加。さまざまな指摘や建設的な意見ある中、用水路等の改善について指摘あり。内水氾濫対策についての見解と短期的、中長期的な取り組みについて伺う。
② 多摩川の流量を確保するためには抜本的な対策として、浚渫(しゅんせつ)、並びに東京側の堤防のかさ上げ(1メートル以上低い。かさ上げは必須)について市として国へ働きかけを強めるべき。見解は?
③ 多摩川流域で貯水施設を確保できる可能性について。例えば五反田川放水路は貯留量が何と13万立米。本来の機能に付加価値をつけて活用できないか伺う
④ 過日、三沢川に流れ込む大丸用水の合流地点にある水門が、さびて動かないことが発覚。今回の水害の大きな原因ともとれる事実。明確な説明を求める。

建設緑政局長

多摩川等の治水について

① 用水路の改善等について、国や県と連携して今年度内にJR南武線三沢川橋梁周辺の浸水原因の究明を行い、来年の出水期までに土のうによる対策など短期的対策を実施するとともに、中長期的対策についても検討を進める。
② 多摩川の浚渫(しゅんせつ)等について、今回の台風によって被災した自治体として、多摩川流域自治体で構成されている多摩川整備促進協議会等の場を通じて、他の流域自治体と情報を共有し、治水安全度の向上について国に対して要請を行ってゆく
③ 多摩川流域における流出抑制については、現在、多摩区生田8丁目から登戸新町地内にかけて五反田川放水路の整備を進めており、来年の出水期までには放水路施設の一部の活用が可能となることから、暫定的に貯留式で運用を開始する予定。
④大丸用水が三沢川に流入する箇所の水門については、三沢川の改修にあわせて神奈川県により設置されたもの。三沢川の管理者である神奈川県、大丸用水の管理者である本市など関係者の間での、必要な管理の取り決め等が不明確な状況であることから、庁内関係部署を初め、県や大丸用水土地改良区等の関係機関と適切な管理などについて検討する。今回の浸水被害の原因につきましては、現在、神奈川県等と連携して原因の究明を進めている。現時点では多摩川において計画高水位を超える状況の中、三沢川においても水位が上昇し、三沢川に流入する用水路等の水が流入しづらくなったため、水があふれたものと考えている。浸水原因等につきましては、今後明らかになった時点で住民の方々などへ御説明する。

吉沢章子

原因が明らかになった時点で住民の方々に説明との答弁。丁寧な対応を求める。
五反田川の暫定利用13万立米について。五反田川の貯留のみならず、多摩川からの水を貯留する機能ということも考えられるのではないか。アイデアとして検討を要望。

・堰地区の浸水被害について

吉沢章子

多摩区では堰地区においても浸水被害があった。浸水を招いた宇奈根排水樋管ゲートの開閉問題について、さびて動かなかったということはないのか、宇奈根のみならず、所管する他の全てのゲートも含めてさびは原因となっていないのか、見解を伺う。あわせて、操作手順の見直しと、今後改善すべき点について伺う。

上下水道事業管理者

樋管ゲートについて、上下水道局では宇奈根排水樋管ゲートと同様の形式の樋管ゲートを27カ所所管しており、これら全ての樋管ゲートにおいて、毎年、上下水道局職員による動作点検を実施し、正常に動作することを確認している。また、必要に応じて専門業者による点検整備も実施。さらに、国土交通省が管理する河川に接続する20カ所の排水樋管では、維持管理が適切に行われていることを確認する目的で、河川管理者による履行検査も毎年行われている。操作手順の見直しについては、近年の気候変動に伴う雨の降り方の変化なども考慮すると見直しが必要であり、今後、浸水被害の検証の中で、全ての樋管ゲートについて見直したいと考える。

吉沢章子

国:20カ所、県:7カ所。年1回程度の検査だが、この年1回程度の検査も十分なのかどうかが非常に疑問。点検の頻度も含めて、徹底検証を要望。
災害対策としても治水事業の一元化の必要性を感じている。今、上下水で事業は一緒だが、下水道事業は治水という観点からすれば、もともとの建設緑政局に戻すべきと考える。組織再編について市長に要望。

 

課題3 市の対応について
・「見える化」できる検証方法について

吉沢章子

台風19号の検証作業における検討事項の一覧化を含めた検証の見える化について、検証シートの作成について。東京大学大学院の災害トレーニングセンター(DMTC)に伺った際、DMTCが作成している47種の災害対応業務フレームワークを拝見。この表を参考に、センター長の目黒教授、また、副センター長の沼田准教授に御指導いただきながら、川崎市における検証シートを作成することを提案するが、見解は?

危機管理監

台風第19号の検証の進め方について、このたびの台風第19号の検証を進めるに当たりまして、東京大学の目黒教授を座長とする川崎市防災対策検討委員会を11月28日に開催し、御意見をいただいたところ。委員から会議を開催することなく、適宜相談するよう提案もあり。今後、検証シートも含め、委員の専門的知見やアドバイスをいただきながら検証を進めたい。

吉沢章子

47の災害の対応業務フレームワークがある。発災の事前、発災時、事後と分けてスキームをつくり「見える化」すれば、多数の参加で検証が可能に。多摩区長答弁のように反省点も評価すべき点も全てつまびらかにして、みんなで検証していくことが見える化につながる。是非このような検証シートの作成を要望。

 

・組織について (人材育成)

吉沢章子

代表質問における市長答弁では、最大の課題は職員の温度差であることが明らかになった。多摩区でも職員が避難所の現場で動けなくなった反省点もある。評価すべき点も人、反省すべき点も人。合理的なスキームをつくるとともに、災害時、適切な判断と対応ができる人材を育成することが急務。先述のDMTCでは、災害時の知識、行動、意思決定を学び、災害時に生きる人材を育成する災害トレーニングを行っている。本市職員も受講してスキルアップを目指すべき。市長の見解は?

市長

災害対応力のある職員の育成については、平素からの心構えと災害イマジネーションが肝要であると考え、研修体制を整え、職員の防災教育の充実を図ってきた。DMTCは、段階的に災害対策の知識、技術を身につけていくための災害教育プログラム。今後の取り組みを進める中で、課題への対応として、DMTC等の災害教育プログラムの活用等も手法の一つと考えている。

吉沢章子

お隣の木更津市では、DMTCの訓練センターを、廃校を使ってつくるとのこと。アクアラインで、消防も共同の本市。一緒に職員のスキルアップを図ることも可能と考える。是非ご検討を。

・組織について(体制整備)

危機管理室を人事権・予算権限を持つ「局」扱いにする事を提案 → 検討する (代表質問にて)

・情報発信について(意識啓発)

 

吉沢章子

複層型ハザードマップ+地歴を各区ごとに台風被害を受けて、改めて提案。意識啓発は、素材が身近であればあるほどリアリティを増す。災害特性が一目でわかる複層型ハザードマップに災害地歴を示す写真を落とし込んで、特性をリアルに表現したものを区ごとに示すことが必要。例えば「備える。かわさき」や、購読数が上がらない市政だよりに掲載し、各戸へ配布すべき。見解は?

危機管理監

層ハザードマップ等について。本市のハザードマップは、災害種別に応じた土砂災害、洪水、津波のハザードマップがあり、現在、内水ハザードマップの作成が所管局により進められている。
また、地域の災害の記録は、ぼうさい出前講座などを通じて御意見をいただいている。
ハザードマップの複層化など、ICTの活用も含め検討する。

・情報発信について(体験型意識啓発)

吉沢章子

東生田小学校での防災訓練において、身近なリスクを知ることが防災につながるという吉沢提案に基づいて、このたび実践をして頂いた。その取り組みについて伺う。

多摩区長

多摩区総合防災訓練について。11月3日に東生田小学校で行った多摩区総合防災訓練における地域の危険マップは、訓練参加者が身近なリスクを知るために、みずからマップにリスク地点を落とし、リスクを地域で共有する試みとして、同校の避難所運営会議の情報班が実施したもの。
危機意識の向上につながる自助、共助の取り組みとして興味深く、地域のさまざまな活動において、皆様がその手法を活用していただくことで、地域の防災力のさらなる向上が期待できるもの。

吉沢章子

地域の危険マップは各学校で取り組まれているが、今回小学校4年生が体育館で発表し、発表した小学生たちが体育館内でのこの取り組みを見て、総合学習で取り入れていくということも伺っている。子どもたちが地域の危険マップを作ることは全市的に取り組みができると考える。
市教育委員会との協力を要望。今回の台風で市民の防災意識が非常に高まっている。
実際の避難経路の確認、意識啓発等、一石二鳥である課題を発見する「まち歩き」は災害対策の必須メニュー。まずはモデル地区からでも始めるべき。危機管理監に要望とする。準備を進めているとも聞いているので次回の質問とする。

 

 

 

次回にむけて

 

川崎市の令和元年東日本台風における検証の最終報告は3月末に出される予定である。
現在までの吉沢独自の検証、ならびに市の検証、議会における質疑などで明らかになった。
課題として
危機意識が希薄
初動対応の遅れ
災害対策本部がハブ機能を果たさなかった
職員間の温度差(現場および担当とそれ以外の部署)
ソフト・ハードともに災害への準備不足
検証による成果が期待できるか現時点で不明
以上、骨となる部分で大きく6つの課題があると感じた。細部は多岐にわたるが、川崎市の危機事象対応は、「正しく畏れ、備える」というコンセプトが徹底されていないと感じる。執行部を含め意識が希薄である。一部の職員のみが汗をかいても全体の水準を上げていかなければ来るべき災害に対して、153万人の市民を守ることができない。そのような観点から、12月議会では人材育成と徹底検証のツールを提案した。提案を取り入れるとの答弁だったので、次回の議会で進捗を確認してゆく。また、令和元年東日本台風における支出は今後の財政運営に大きく影響していく。自由度の高いいわゆる「貯金」が、財政調整基金であるが、今回の台風で9億円を支出し、残高が15億円しかない。令和2年度予算では台風19号への措置は計上される見込みだが、新たな危機事象に向けての予算の確保が必須であり、3月の予算議会ではこの議論もしなければならない。
課題は尽きないが、諸案件に対し今後も調査研究し、市民の命を守る危機感を持って取り組む決意である。